第4回「よく噛む(腸内環境)」
最近よく「腸内環境改善」「腸内フローラ」など、腸の状態を良くしましょうという話を聞くようになりました。確かに腸の環境はとても重要。腸は、食べものという、身体にとってのある意味での‘異物’を消化し、身体と同化できる物質へと変化させる化学工場。つまり、身体すべてをつくる基本中の基本、根幹です。「おなか」って言うくらいですから、腸はつまり身体の中心なのです。
だから腸がきちんと機能して栄養をスムーズに吸収できれば、当然身体は健康になります。さらに、精神的な安定をもたらす物質、セロトニンの大部分が腸内でつくられていることも分かってきました。つまりPMSや更年期障害で、特にメンタル面でつらい思いをしている場合、腸の状態を良くすることで健やかな気持ちでいられる可能性が出てくるというわけです。
実際、腸の余分なものを洗い流すコーヒー浣腸を続けていたら、あるときふと幸せな気持ちがワーッと湧き上がってきた、なんて経験も本で読んだことがあります。
とはいえコーヒー浣腸にまでは手が出なかった私。もう少し日常的な方法で腸内環境改善をはかれないものかと試行錯誤してみました。漢方薬飲んだり、乳酸菌試したり、豆乳ヨーグルトを食べてみたり…。
そんななかで一番効果を感じたのは、なんとシンプルにも、「よく噛む」ということだったんです。よく噛むと、すぐに胃が楽なのを感じます。いつものようにあまり噛まないときの重さがない。さらに、食べものが腸に進むうちにチラリと感じていた腹痛や腸の違和感がかなり減っているのも分かります。腸の近くにある子宮や卵巣なんかも穏やかにそこにいる感じ。この時点でもかなり身体は楽になっていますが、翌朝になるとさらに実感。明らかに身体がぐんと軽くなっているんです。
今までは食べもの丸飲みでその消化を身体に押しつけ無理させてたのが、その負担から解放された分、身体の他の部分の修復、例えば疲労の回復とかにパワーを回せた印象です。すると、なんだか気分もいい。身体の重だるさを感じることなく、爽やかに一日を始められるのです。
とはいえ、「よく噛む」って簡単に言いますが、毎日続けるのはけっこうたいへんですよね。気づくと思わずいつものペースでわわっと食べちゃう。なので、まずはひと口目だけでもゆっくり丁寧に噛んでみる。これ、凄腕鍼灸師さんの提案なんですが、それだけでも胃腸が消化するぞとスタンバイ状態に入るそうです。
歯が痛くてよく噛めないなら、すぐ飲み込まずに口の中に入れておくだけでも。こうすると唾液と混ざり合って唾液の消化酵素が働きます。そう、もはや消化は胃腸ではなく、口の中‘だけ’でする。それくらいの心意気で臨みたいものです。
また、よく噛むと、食品に含まれる添加物など身体にとって良くないものを効果的にデトックスできるとも言われています。もちろん添加物や農薬は口にしたくないけれど、今の時代これらをゼロにするのはほぼ不可能ですよね。だからよく噛むことでその弊害を減らしていけたらいい。
さらによく噛むことはダイエットにも繋がります。少しの量で満足できるようになりますし、しかもちゃんと消化吸収されるから噛まないダイエットより栄養不足になりにくい。それに、だんだんと薄味に慣れてもくるんですよね。
また噛むという行為自体にも、脳を活性化し、気分が良くなる効果があるとの報告もあります。ガムを噛んでいたらうつ病が軽くなった人もいるそうですからね。
私はキャベツをよくよくよ~く噛むのがお気に入り。これやると翌日、トイレでバナナのようなすばらしい形状のモノと出逢えます。
よく噛めばそれだけでPMSや更年期障害が良くなるとは言い切れませんが、私の場合は楽に過ごせる時間が増えたように思います。食べものを消化吸収するのって実は身体にとって最も負担の掛かる大仕事なんですが、それをしっかり噛むことで手助けしてあげれば、身体は他の大切な仕事、例えばPMSや更年期障害に関係する自律神経系の仕事にもっとエネルギーを当てられるようになるのかもしれません。
やはり、PMSにも更年期にも近道はない。やれることをコツコツ毎日積み重ねるのが一番いいように感じます。